こころいろ
なんとなく見ていた景色が自分の心に風を吹かせるように飛び込んできた日を思い出した。
あの日から景色が変わって見える。そして私は絵に描いています。
様々な色・・・それはそれまで生きてきた経験の中で覚えた感情だったり心の色ではないかと思っています。
忘れている記憶もあるけれど、潜在意識の中で色として残っているのではないかと思うんです。
絵を描くとき、暗い色も明るい色も同じくらい使います。
眩しい色の中にくすんだ色を溶け込ませると優しい色に変わったりします。
影を見つめるほどに光の色がそれまで以上に輝きを放ったりするのです。
まるで、悲しいとか悔しいとかいう感情を知らなければ、幸せで泣きながら笑うということなんかないみたいに。
生きていることは、心を揺らすことは、私にとって色を見つけること。
新しい絵を描けたときに胸いっぱいになるのは、若かったころ、がむしゃらな時代の私の記憶の色が蘇ってその絵の一部として役立っているからだと思います。
今も悩みは尽きないし、わからないことだらけだけど・・・今の私だから見えている色があるはず。
あの頃の私がそう教えてくれます。
そして、これからも生きていく。もっと視野を広げたいし、本物の、ありのままの自然の美しさを見たいから。
その景色を絵として残していけたらいいな。
この絵を描いていた時にたまたま見た番組。
太陽の光(紫外線)にあたれない難病と生きる「りんくん」とその家族の生活。日が昇る前に一緒に新聞配達をするおじいちゃん、りんくんの失われる言葉を書き留めて絵本を作ったおばあちゃん。そばで寄り添いながら見守るお兄ちゃんと弟くん。
お母さんもお父さんもみんながりんくんを中心とした生活の中で思いやりや優しさを育んでいた。お日様みたいな家族を見ていてどんどん心が温かくなった。そして気づいたら涙が溢れて止まりませんでした。りんくん自身が太陽も病気も憎まず、ただただ自分の人生を精一杯生きている。その姿が本当にお日様みたいなんです。こんなに優しい気持ちにさせてくれて、りんくんご家族と番組を作ってくれた方々に感謝です。