豊かさとは
この絵のモデルとなった場所は糸島の桜井にあるカントリーチェア。春に咲く小屋を覆うほどのナニワイバラと、いつも日向ぼっこをしているネコ。そして今年の作品がこちら。
今年の春訪れた際もナニワイバラはとても美しく咲いていました。昨年と違うのは、隣のさくらんぼの木が豊作だったこと。木工作家の御主人・仲村さんが「ぼくはおいしいさくらんぼを見分ける名人なのです」と赤く艶やかなさくらんぼを摘んでくれました。今年もバラをメインに描くつもりでしたが、仲村さんの優しさに上の絵が生まれたのでした。今年の秋、個展でこの絵を展示した際に見に来てくれた仲村さんから「この絵は売れないよ。モデルがだめだから」と言われました。
そして、先日佐賀でのイベントで展示させていただいた際に、この絵はある男性が購入されました。その方はカントリーチェアの木工作品を愛用されているだけでなく、ご家族や親族で工房にも来るお客様でした。
「この絵を買います。僕の息子は仲村さんが大好きだから、家に飾ったら喜ぶでしょう」と。後で聞いたのですが、このお客様が息子さんと工房に訪れた際に仲村さんが山や海に連れて行ったり、遊んであげるのだとか。小さな息子さんは仲村さんを大変慕っているそうです。
「この絵は売れないよ。モデルがだめだから」と言っていた仲村さん。
「仲村さんがモデルだから売れましたよ」と私は言いました。
その後何度か工房に遊びに行っていますが、子供連れのお客様が来ていると必ず遊んであげている仲村さんを見かけます。本当に優しく、温かい仲村さん。作品にはその人柄があらわれています。
絵を描いて生きていくということがどういうことなのか、まだわかりませんが、絵を通して出会う人たちの心の豊かさに、人が人らしくあるために必要なことを教わっている気がしています。
仲村さんは作家としても、人としても、大変尊敬しています。見本となる方が身近にいて、とてもありがたいと思います。そして、そんな仲村さんを支える愉快で楽しい奧様の話はまた今度・・・(^^)